鍼灸施術を行うにあたっての細心注意点をWHOから抜粋させて頂きます。

以下、

鍼治療の基礎教育と安全性に関するガイドライン (翻訳改訂版 2000.4.7)
世界保健機関
Guidelines on Basic Training and Safety in Acupuncture
World Health Organization
を抜粋させていただきます。

 

3.事故および逆効果

 

3.1 鍼の質 鍼の材料としてステンレスが用いられている。それぞれの鍼は使用前に十分チェックする必要があ る。もし鍼が曲がっていたり、侵蝕されていたり、また鍼尖が曲がったり鈍になっている場合には、そ の鍼は欠陥があるとみなして廃棄するべきである。 鍼の製造技術の質は国の保健機関によって監視されていることが望ましい。


3.2 患者の体位 患者は刺鍼前には快適な姿勢を保持し、治療中にも不意な体動は避けるべきである。


3.3 失神 鍼治療中にしばしば患者が失神することがある。それゆえ鍼刺入の手順や刺鍼感覚など、失神をおこ しそうな要因の説明を十分に治療前にすることが必要である。これらのことから、患者にとって初めて の鍼治療は臥位で行い、穏やかな手技を用いるべきである。患者の顔色や脈などを注意深くチェック し、鍼の逆効果をなるべくはやく発見する必要がある。また太衝(LR 3)への刺鍼など、低血圧などを 引き起こす可能性のある経穴への刺激には特別な注意が必要である。 失神の前兆としては、気分不快、めまい、周囲の景色の動揺、脱力感などがある。胸部のしめつけ感 や動悸、悪心や、ときに嘔吐などがつづいて起こる可能性もある。顔色は通常蒼白で、脈は弱い。ひど い例では四肢の冷感や冷汗、血圧下降、意識不明なども起こり得る。このような反応は普通、精神的緊 張や、空腹、疲労、虚弱、不適切な体位や過度の刺激が誘因となる。 もし警戒するべき徴候が現れたら、すぐに鍼を抜いて患者を臥位にして、頭部を低くして下肢をもち あげる。これは患者の症状がおそらく一過性の脳血流の供給不足と考えられるからである。そのような ときには患者に温かい飲み物を与えるのがよい。 こうした症状は普通しばらく休めば改善する。症状がつよい場合には応急処置が必要で、患者の症状 が比較的安定している場合には、以下の治療を試みるのもよい。 ・ 爪による水溝穴(GV 26)の圧迫刺激もしくは鍼による水溝(GV 26)、中衝(PC 6)、素膠(GV25)、内関(PC 6)、足三里(ST 36)などの刺激または、・百会(GV 20)、気海(CV 6)、関元(CV 4)への灸。 患者は通常、即座にこれらの方法に反応する。しかし、もし症状が変わらなければ救急医療の必要が ある。


3.4 痙攣発作 すべての患者には痙攣発作の既往があるかどうかを確認する必要がある。既往のある患者では、治療 中に注意して観察する必要がある。もし発作が起こったら施術者はすべての鍼を抜き、応急処置をしな ければならない。もし患者の状態がすぐに安定しなかったり、痙攣がつづくような場合には救急医療施 設に患者を送るべきである。


3.5 痛み 〔刺入時の痛み〕 鍼刺入時の痛みは通常不注意な手技もしくは不良鍼尖(かぎ状に曲がっているか鈍くなっているも の)、または太い鍼によって起こることが多い。 多くの場合、熟練した早い刺入であれば痛みは起こらない。正しい技術と最適な刺激量は実習にて修 得するべきである。いくつかの器具-例えば鍼管の使用(切皮に際して刺激部位のところで鍼の保持に 役立つ)―や、弾入法(鍼尖を刺入部においた状態で、鍼柄をゆるめに保持し、もう一方の手の中指か 示指を用いて鍼柄を弾いて刺入する方法)などの手技を用いることによってスムーズで早い刺入を容易 にすることができる。鍼刺激独特の鈍痛、またはうずくような、あるいは重いような、感覚の“鍼感” は気が得られたこと(得気)を意味する。このような感覚は痛みとは区別されるべきである。 〔刺入後の痛み〕 鍼が深部組織に刺入された時の痛みは痛覚神経の受容器を刺激した場合に起こるので、このようなと きには鍼を皮下までもどし、方向を変えて再度刺入を試みる。 鍼が広い振幅で雀啄されたときや、回旋されたときに起こる痛みは、通常、線維組織が鍼に巻きつい て起こる。このような痛みをとるには線維が緩むまで鍼を穏やかに逆方向に回旋させるようにする。 鍼が留置された状態で起こる痛みは、患者が動いた際に鍼が湾曲して起こることが多いので、元の体 位に戻れば軽減される。 〔抜鍼後の痛み〕 抜鍼後に起こる痛みは技術不足か過度の刺激によって起こることが多い。軽度な例では、痛みの部位 を圧迫し、痛みが強い場合には、圧迫に加えて灸刺激を行うとよい。


3.6 渋鍼 しばしば鍼刺入後に回旋や雀啄ができなくなり、ときには抜鍼さえも困難になる場合がある。これら は筋攣縮や、過度の回旋、一方向への回旋などによって周囲の筋線維が鍼体に巻きつくか、患者の体動 によるものである。 この場合、患者をリラックスさせなければならない。もし原因が一方向への過度の回旋にあるなら ば、鍼を逆方向に回旋させることでその状態を緩和することができる。もし渋鍼が筋攣縮によるものな らば、そのまま鍼をしばらく放置し、その後鍼を回旋しながら抜き取るか、もしくは患者の気をそらす 目的で刺入部の周囲をマッサ-ジしたり、周辺に(新たな)鍼を刺入するのがよい。もし患者の体動に よって渋鍼が起こった場合には、体動前の姿勢にもどし、鍼を抜きとるようにする。
522 (120) 資 料 全日本鍼灸学会雑誌50巻3号


3.7 折鍼 低質な鍼製造技術や鍼体と鍼柄の接合部の浸蝕、患者の不意な体動による強い筋攣縮、渋鍼や曲がっ た鍼の不適切な抜き取り、もしくは長時間にわたる直流電流の使用は折鍼につながる。 もし、刺入中に鍼が曲がったら、抜鍼して鍼を交換するべきである。鍼の操作-特に雀啄など-にあ たっては、過度の力を加えてはいけない。鍼柄と鍼体の接合部分は、破損しやすい部位である。それゆ え、鍼体の4分の1か3分の1くらいの長さ分は常に皮膚から出ているようにしなければならない。 もし鍼が折れたら、まず患者に落ち着くように言って、鍼の断端がそれ以上深い組織に入るのをふせ ぐようにする。もし折れた鍼の一部が皮膚の上にまだ残っているようならば、それをピンセットでつま んで引き抜くとよい。鍼の断端が皮膚表面の深さにあれば、周囲の皮膚を、断端が現れるまでやさしく 押さえて、断端をピンセットでつまんで抜き取る。もし折れた鍼が完全に皮下にあるようならば、患者 に元の体位をとらせれば鍼が現れる場合がある。 以上の手順がうまくいかない場合は、手術による除去が必要となる


 鍼灸を受けるにあたって大切なことは、リラックスしていただくことだと思います。緊張している状態で鍼灸を受けると一過性の脳血流の供給不足による失神が起こりやすかったり、筋肉も緊張するので渋鍼や痛みがでやすくなってしまうと思います。さらに緊張から身体を動かしてしまうと折鍼してしまう可能性もあります。

 鍼灸治療を受ける際は、施術者を信じてリラックスしていただくことが大切だと思います。最近の鍼灸は刺さない鍼、火を使わないお灸が主流になってきていますので大丈夫です。刺す鍼に抵抗がある方は、事前に施術者におっしゃっていただくと良いと思います。

 また鍼灸の刺激が強すぎたり、無理に刺激が強いのを我慢していると、疲れや怠さが残ってしまう場合があります(怠さの中には好転反応もあります)。鍼の刺激の強さは調節ができますので、一番気持ちいいと思う刺激量か、少し弱いなと思う刺激量で施術者に頼んでみるのも良いかもしれません。

 痛いだけの刺激、痛いけど気持ちいい刺激、気持ちいい刺激、触られているだけの刺激、触られているかもわからない刺激、いろいろな刺激がありますが、身体の反応はその人、個人個人によって様々です。痛いから鍼灸は効くという人もいれば、痛くないから鍼灸は効くという人もいます。また本人は強い刺激が好きだけど、身体は弱い刺激を求めている人もいます。逆に本人は弱い刺激が好きなのに、身体は強い刺激を求めている人もいます。本当に個人一人ひとり様々です。

 しかも、日によって人の体調は変化します。元気な時もあれば、しんどい時もあります。なので刺激量も日によって変わってきます。

 なので、鍼灸の経験が浅い方や、鍼灸を受けるのに抵抗がある方は、施術者を信用してリラックスし、程よい刺激か少し弱い刺激を堪能するのが治療効果も出ると思います。

 

身体のこと何でもお気軽にご相談ください!!

施術場所はサイゼリアの裏側あたりになります。ご不明な場合はお気軽にお電話ください(*^-^*)

治療所での施術も行っていますが、基本は訪問鍼灸で不在のことが多いため、まずは一度お電話ください。

 

 

八尾市、東大阪市、大阪市周辺の皆様へ訪問鍼灸治療をさせていただきます。

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